2021/06/21

公認心理師の受験資格と「スキマ世代」問題

 以前から気にはなっていたので、受験資格と所謂「スキマ世代」について考えてみます。

「スキマ世代」とは?

 公認心理師の受験資格の特例措置に該当せず、受験資格を得られなかった方々がいます。この方達は、特例措置制度の隙間に落ちてしまった世代として「スキマ世代」と称されています。この問題を扱う SUKIMA GENERATIONS というサイトもあります。
 また、「SUKIMA GENERATIONS」では、各団体や国に当事者の声を伝えるべく、当事者向けのアンケート調査を実施しています。

「公認心理師受験資格を得られなかった方へのアンケート」https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeJcsZIJWss3MPf3tL4jIhZFyyI-Bc5nkb6FnDM9jLR79lwxA/viewform?gxids=7628

アンケート回答期間:第二締切6月末ごろ

 以下では、制度の隙間とは何なのか、公認心理師の受験資格(主に特例措置)を確認しながら考えてみます。

公認心理師の受験資格

基本の受験資格
 公認心理師の本来の受験資格は「公認心理師法」第7条に定められています。

第7条 試験は、次の各号のいずれかに該当する者でなければ、受けることができない

 学校教育法(昭和22年法律第26号)に基づく大学(短期大学を除く。以下同じ。)において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業し、かつ、同法に基づく大学院において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めてその課程を修了した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者

 学校教育法に基づく大学において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において文部科学省令・厚生労働省令で定める期間以上第2条第1号から第3号までに掲げる行為の業務に従事したもの

 文部科学大臣及び厚生労働大臣が前二号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定した者

 1号から3号がそれぞれ受験区分のA~C ルートと呼ばれるものです。1号と2号(A,B ルート)は法の施行後に大学に入学、3号(C ルート)は海外の大学等で学んだ者を想定しているので、「スキマ世代」の問題とはあまり関係しません。

受験資格の特例措置
 A,B ルートは法施行後大学に入学する者のルートですが、法の施行の際にすでに現場で働いている人、大学・大学院で学んでいる人があらためてこの受検資格を満たそうとするのは大変です。
 そこで、受験資格の特例措置として、法附則の第2条で、受験資格の特例措置を定めています(下線部筆者。【 】内は筆者挿入、いわゆる受験区分を示した)。

第2条 次の各号のいずれかに該当する者は、第7条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。

【D1 ルート】 
 この法律の施行の日(以下この項及び附則第6条において「施行日」という。)前に学校教育法に基づく大学院の課程を修了した者であって、当該大学院において心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めたもの
【D2 ルート】
 施行日前に学校教育法に基づく大学院に入学した者であって、施行日以後に心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて当該大学院の課程を修了したもの
【E ルート】
 施行日前に学校教育法に基づく大学に入学し、かつ、心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、施行日以後に同法に基づく大学院において第7条第1号の文部科学省令・厚生労働省令で定める科目を修めてその課程を修了したもの

【F ルート】 
 施行日前に学校教育法に基づく大学に入学し、かつ、心理学その他の公認心理師となるために必要な科目として文部科学省令・厚生労働省令で定めるものを修めて卒業した者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、第7条第2号の文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において同号の文部科学省令・厚生労働省令で定める期間以上第2条第1号から第3号までに掲げる行為の業務に従事したもの

【G ルート】
  この法律の施行の際現に第2条第1号から第3号までに掲げる行為を業として行っている者その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者であって、次の各号のいずれにも該当するに至ったものは、この法律の施行後5年間は、第7条の規定にかかわらず、試験を受けることができる。

 文部科学大臣及び厚生労働大臣が指定した講習会の課程を修了した者

 文部科学省令・厚生労働省令で定める施設において、第2条第1号から第3号までに掲げる行為を5年以上業として行った者 

  (省略)

 さらに、下線を引いた「その他その者に準ずるものとして文部科学省令・厚生労働省令で定める者」については省令である公認心理師法施行規則の附則に定めています。

第4条 法附則第2条第1項第3号及び第4号の文部科学省令・厚生労働省令で定める者は、次のとおりとする。

 平成29年9月15日より前に学校教育法による大学に入学した者であって、当該大学において前条に定める科目を修めて同法第102条第2項の規定により大学院への入学を認められたもの

 平成29年9月15日より前に学校教育法による専修学校の専門課程において文部科学大臣が定める日以後に前条に定める科目を修めて卒業した者

第5条 法附則第2条第2項の文部科学省令・厚生労働省令で定める者は、次条に定める施設で適法に法第2条第1号から第3号までに掲げる業務を業として行っていた者であって、平成29年9月15日において当該業務を休止し、又は廃止した日から起算して5年を経過しないものとする。

 第4条の1号は、いわゆる飛び級制度(大学を卒業せずに大学院に進学する)について。大学で必要な科目を修めていれば、飛び級進学しても(学部を卒業していなくても)受験資格を認めるというもの。

 第4条の2号は、大学でなくても、文科大臣が指定した専門学校でも受験資格を認めるというもの。

 第5条は、法施行日(平成29年9月15日)時点で休業(休職)や廃業(退職)していたとしても、休業・廃業の日から施行日までに5年経っていなければ、受験資格を認めるというもの。

「スキマ」はどこにあるのか?

 受験資格の特例措置は文章だけだと、とても分かりづらいので図に示します。まずは附則第2条第1項の各号(D~Fルート)。

D ルートについて

 D ルートは、法施行日(2017年9月15日)に大学院を修了している(D1)か、大学院に在籍している(D2)方が対象です。大学院で修めた科目が公認心理師に必要な科目を満たしていれば受験資格を得られます。D ルートの場合、学部での履修科目は問われません。

 必要な科目は以下になります。

 正規の大学院カリキュラム(A ルート、E ルート)では、上図の掲載された科目を全て修めることが必要です(実習の時間数の既定もアリ)が、既に大学院を修了または在籍中のD ルートは、(2)と(3)からは2科目以上修めればよいとなります。
 また、上図掲載科目は法施行日以前にそのままの形で開講されていたとは限らないので、内容として当該科目相当と読み替えられるものを履修していればよいとなります。「公認心理師カリキュラム検討会報告書」では、例として臨床心理士指定大学院における科目との対応が記載されています。

 D ルートに該当するかどうかは、科目の読み替えができるかどうかという点です。
 D1 とD2 の違いは、既に修了しているか否かです。
D1 ルートは既に修了しているので履修した科目が要件を満たしていなければ受験資格は得られません。D2 ルートの場合、読み替え可能な科目を修めているかを確認してから修了するというD1 ルートよりやや柔軟な対応ができます。

 D ルートの「スキマ」としては、科目の読み替えの可否になります。大学院としてもこれまで開講してきた科目が読み替えできるように対応会議に腐心したと思いますが、どうしても対応できないという大学院があったかもしれません。また、選択科目として開講はしていたが、その科目を選択履修していなかったために科目読み替えができなかったというケースも考えられます。
 また、公認心理師法の公布は2015年9月16日です。公認心理師に関心がある2016~2017年度に大学院に進学した方(D2 ルート候補者)は、その大学院が公認心理師を養成する予定があるのか確認して進学したと思います。しかし、カリキュラム等検討会の報告書が出されたのは2017年5月なので、それを受けて「やっぱり養成しません。なので科目読み替えにも対応できません」と梯子を外された方も、もしかしたら居るのかもしれません。

 D ルートに学部で修めた科目の規定はないですが、もしD ルートに該当しなくても、学部で修めた科目が読み替え対応可能であればE ルートやF ルートを目指すことは可能です。もう一度大学院に通うことや指定施設に採用される必要はありますが、学部から入り直すよりは負担は少ない道です。
 D1 ルートの場合、既に修了しているので施行日時点で現場で働いているかもしれません。その場合、G ルートの要件を満たせば受験資格を得られます。D2 ルートの場合、施行日には在学しているので特例措置期間内に5年の実務経験を満たすのは難しいケースが多いでしょう。

E ルートについて

 E ルートの要件は、「その他その者に準ずるもの」を除けば
  ①施行日(2017年9月15日)以前に大学に入学
  ②大学で必要な科目を修めて卒業
  ③施行日以降に大学院に進学
  ④大学院で必要な科目を修めて課程を修了
の全てを満たすことです。施行日に大学を卒業していても在学中でもかまいません。
 学部の科目は読み替え対応可能ですが、大学院は「第7条第1号の文部科学省令・厚生労働省令で定める科目」とあるので、A ルートと同じ正規の養成カリキュラムの科目を修める必要があります。

 E ルートの「スキマ」として考えられるのも、科目の読み替えの可否になります。D ルートと違うのは、学部の科目の読み替えという点です。

 E ルートで必要な科目は以下になります。

 「健康・医療心理学」は(4)、(5)のどちらにも読み替えることが可能なので重複掲載されていますので、23科目のうち、12科目の履修(読み替え)が必要という事です。
 ちなみに、正規のA・B ルートで修める科目は上掲の23科目に「公認心理師の職責」、「関係行政論」を加えた25科目が全て必修です。

 ”特例措置としても、半分以下の履修で受験資格を認めるのは甘すぎるのではないか”と感じる方もいると思います。
 しかし、上掲23科目を見れば分かるように、「心理学」といってもその対象や領域は非常に広汎です。また、「心理学科」や「心理学専攻」として専ら心理学を修める学科であれば上掲科目の多くをカバーできるでしょうが、「人間科学科」や「コミュニケーション学科」のように心理学を含む学際領域の専攻コースも日本には結構あります。
 特例措置としてどこまでを認めて線を引くか、厳しすぎれば受験できない人が多く出てしまう、あくまで受験する資格を与える基準という事で、上掲12科目以上に落ち着いたのだと考えられます。

 学部での履修科目(読み替え)が足りないと、大学院で必要な科目を履修しても受験資格は得られません。
 既に卒業していた場合は学部に入学し直さないといけなく、その場合の多くは法施行後の入学となるので、A・B ルートとして必要科目を
フルで履修しないといけなくなるので、非常に大変です。
 在学中であれば、卒業せずに(留年して)必要科目を修めてから卒業という、既卒者よりは選択肢が多いですが、その分学費はかかるし、そもそも大学で必要科目が開講されていなければどうにもなりません。

F ルートについて

 F ルートについてはほぼE ルートと同じです。法施行後に大学院ではなく、実務経験プログラムを実施する指定機関でプログラムを終了する、という点が異なるだけです。

G ルートについて

 G ルートの受験資格を整理すると
  ①法施行日(2017年9月15日)に業を行っている
  ②現任者講習を受講する
  ③5年以上業を行っている
の全てを満たすことが特例措置の基本となります。
 さらに、特例措置の特例として、①については法施行日に休業・廃業していても、5年経っていなければ認めることになっています。
 これらを合わせると
  ①’2012年9月16日~2017年9月15日の期間に業を行っている
  ②現任者講習を受講する
  ③5年以上業を行っている
の全てを満たすのがG ルートの受験資格ということになります。

 図にすると以下のような感じです。

 G ルートの「スキマ」としては、例8、例9のような場合が考えられます。2012年9月16日~2017年9月15日の期間に業を行っていなければ、それ以前にどれだけ経験を積んできたベテランであっても受験資格は得られません。
 育児・介護・療養などの理由で休業することは珍しくありません。こうした事情への配慮として、法施行日に業を行っていない者への特例が定められたものと考えます。1つの理由で5年以上休業することは稀かもしれませんが、複数の理由が重なる、あるいは続くと休業が5年以上になることもあると思うので、そうした事情で受験資格を得られないという方は居るのではないでしょうか。

 また、特例措置の中でも、法附則第2条第1項各号(D~F ルート)には措置期間の定めはないのですが、法附則第2条第2項(G ルート)には、「この法律の施行後5年間は、(中略)試験を受けることができる。」と措置期間が定められています。
 例えば、2017年3月に心理系大学院を修了し4月から心理職として働き始めた人の場合、大学院で修めた科目でD1 ルートの受験資格が得られれば良いですが、そうでない場合はG ルートでの受験資格となります。G ルートで実務経験5年を満たすのは2022年となるので、受験ができるのは第5回試験1回のみ、という事になります。
 また、国家試験の試験委員は任期中と任期後1年は受験できないそうです。こうした方々の中には、大学院で学んで結構な年月が経過していて科目読み替えができずG ルートで受験するしかない、という方も居ます。このように、経験年数は充分であっても受験機会は限られる場合もあります。

その他の「スキマ」

 受験資格の特例措置について、誰を救済するための措置かという視点で見ると

 D~F ルート:公認心理師となるために必要な科目(読み替え)を既に修めた者あるいは履修中の者(≒心理学を学んだあるいは学んでいる途中の者)

 G ルート:公認心理師が行う業を現に行っている者

を対象としていることが分かります。
 これまでは、こうした特例措置制度の「スキマ」から零れ落ちるのはどのような場合かを見てきました。
 ここでは、そもそも措置対象として想定していなかったであろう部分について考えます。

 想定の外なので、上記のどのルートでもないパターン、つまり法施行時点で
  ①公認心理師となるために必要な科目の多くを履修していない(履修中でもない)
  ②公認心理師が行う業を行っていない
のどちらにも該当するパターンです。
 ”勉強もしていない、経験もない。どうして受験資格を与える必要があるんだ”との考えはあると思います。現に制度としても受験資格は与えられていません。

 これがどういう人なのかというと、”学部では心理学を専攻していないが、大学院は心理系に進学し、将来は心理職として働こうと考えていた”というパターンです。

 これまで日本における心理系資格で、所持者も多く、一定の社会的信用を得ていたものに、「臨床心理士」という資格があります。公認心理師ができる以前は、心理職として働くために臨床心理士資格取得を目指すという人が多かったです。
 この「臨床心理士」は、日本臨床心理士資格認定協会が指定した大学院・専門職大学院で養成する制度であり、学部での専攻は問われません。「学部では心理学以外を専攻した臨床心理士」という方は、臨床心理士全体に占める割合でみると少ないと思いますが、実数としてはそれなりに居ます。
 学部では心理学以外の学問分野を学び(又は、心理学専攻に進めなかったけど)、大学院は指定校に進んで臨床心理士取得を目指す。そういう進路を計画していた方もいるでしょう。
 指定大学院に進学すれば当初の計画通り臨床心理士受験資格は問題なく取得できますが、公認心理師の受験資格は得られない。目的は臨床心理士という資格を得ることではなく、心理職として働くことなので、働く上で国家資格がないことでどのくらい不利になるか、実際は分かりませんが不安は感じると思います。当人としては、”これまで描いていた進路がいきなり閉ざされた”という体験に近いのではないかと想像します。

 特例措置というのは、基盤となる本来の養成カリキュラム(A・B ルート)があってのものです。学部+大学院(or 実務プログラム)の標準6年間で心理学を学び訓練するプロセスを想定しているので、法施行時点で学部で心理学を学んでいない者を特例の対象と考えないのは論理として理解できます。
 しかし、本稿で述べたようにD ルートも学部での履修科目は問われていません。D ルート受験者の中にも、学部では心理学以外を専攻した人(心理学科目を履修していない人)はいます。

 辿る過程は同じでも、法施行日に大学院に進学していたか否か、という違いで受験資格が得られなかった。という見方もできます。

情報は得られていたか?

 公認心理師法は、2015年9月9日成立、同月16日に公布されました。この時点で法附則に定められた特例措置(D~G ルート)の大枠は知ることができました。
 「公認心理師となるために必要な科目」や「その他その者に準ずるもの」の詳細は未定の段階ですが、法施行日は法附則に「公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」と定められているので、遅くとも2017年9月15日までには施行されることは分かります。カリキュラムの整備などを考えると、だいたい2017年4月~9月の間に施行されると予測するだけの情報は提示されていたともいえます。

 ただ、こうした情報をどのくらいの方が得ていたでしょうか?もちろん法律は公のものなので、誰でも見ることができます。しかし、存在を知らなければそもそもどうにもなりません。

 2015年~2017年の間に大学や大学院に在籍していた方は教員等から情報が入ったと思います。既卒でもD1 ルートやG ルートに該当する方は既に心理職として働いている人が多いので、職能団体や同業者のネットワークを通じて知る機会があったかと思います。
 一番情報を得にくかったのは『その他の「スキマ」』に該当する、心理系以外を専攻する学部生だった方々ではないかと考えます。
 2015年度以前の入学であれば、大学進路決定時に公認心理師法はできていませんでした。大学院は心理系に進もうと思っていても、院進学準備を始めるまでは現在在籍している専門分野の勉強に専念していたとも思います。そうすると、公認心理師法の情報もなかなか入ってこなかったかもしれません。
 施行が予想される2017年度には大学院に進学できている可能性があれば、学部の履修科目不問のD2 ルート受験の可能性が残りますが、2014,2015年度入学の層は2017年度は学部の3年生、4年生なので、E・F ルートとして学部での履修科目も満たす必要があります。
 また、受験資格の要件は「科目を修めて」なので、心理学を専攻する学部・学科等に在籍している必要はありません。しかし、実験や演習等の科目では心理学科等の専攻者のみに受講を制限している大学もあり、必要な科目を履修するためには心理学専攻へ編入する必要があったかもしれません。

 ”将来心理職を目指し、心理系大学院へ進む計画はあるが学部は心理以外を学ぶ”という人たちの中で、2013年以前に大学入学した層はDルート受験に乗れる可能性がありました。2016年度入学以降は、大学受験の際に公認心理師についての情報を得てから進路決定していると考えられるので、心理学を専攻できる学部・学科を受験したと思います。
 『その他の「スキマ」』としましたが、2014・2015年度に大学進学した学年に、このスキマに陥ってしまった方が多いのではと考えます。

救済はあるのか?

 公認心理師に限らず、国家資格ができると現任者や既修者への救済のための特例措置が設けられてきました。そして全員が救済されたかというと、様々な資格で「スキマ」に陥ってきた人はいると聞きます。国としても、「特例措置でも受験資格に零れてしまう者が出る」事は織り込み済みで、仕方のないことだとしているのではないか。当事者からしたらたまったものじゃないけど、そういう姿勢なのかなと考えます。個別に受験資格の判断をするのはコストがかかりすぎるので、どこかで線引きをしないといけないという事でしょう。

 とはいえ、本稿で扱ったとおり、公認心理師の特例措置は非常にややこしいです。大学+大学院(or指定施設での実務プログラム教育)という、他の国家資格ではなかなか見かけない2段階養成(一つの施設で完結するルートが存在しない)制度に起因していると考えます。

 特例措置で受験資格が得られなかったという人が想定よりも多く、不利益が大きいとみなされれば、検討の俎上にあがるかもしれません。ただ「受験資格を得られなかった人がいる」というだけでなく、「どのような事情」で「どのくらいの人」が受験資格を得られなかったのかという実態を示す必要があると考えます。

 実態を示すためには、個々人が管轄省や試験実施機関に訴えるよりも、どこかが取りまとめて示す方がスムーズです。冒頭で紹介した、「SUKIMA GENERATIONS」のアンケートがこうした活動に該当します。
 心理職になるために勉強してきた、心理支援を行ってきた、それなのに公認心理師の受験資格が得られなかったという方、こうした活動に参加・協力するのはいかがでしょうか。
 また、そうした境遇の方が身近にいる、という方は該当者への情報提供をお願いしたいと思います。

アンケートについて再掲します

「公認心理師受験資格を得られなかった方へのアンケート」https://docs.google.com/forms/d/e/1FAIpQLSeJcsZIJWss3MPf3tL4jIhZFyyI-Bc5nkb6FnDM9jLR79lwxA/viewform?gxids=7628

アンケート回答期間:第二締切6月末ごろ

日本公認心理師協会の認定資格制度についての私見③

  ① 、 ② ではわりと批判的な私見を述べました。 批判だけじゃなんかアレなんで、好意的な意見も述べてみようと思います。 コンピテンシーモデルに基づいてるよ 日本公認心理師協会HP「 公認心理師の生涯学習制度について 」の下の方に、「専門認定に関するQ&A」pdfへのリンクがあ...